不適切保育|2023年1月

保育園での不適切保育に関するニュースが後を絶たちません。当初そのニュースを耳にした時「報道は事実を全て伝えているのか?テレビやニュースは事のすべてを語らず、話題性に富むようあえて部分的な取り上げ方をしているのでは?」と疑わずにはおれませんでした。しかし逮捕者が出るような状況を考えれば、それは残念ながら事実なのでしょう。ごく普通の保育園で、しかも地域では比較的評判の良かった保育園、さらには私たちが住む新潟市の保育園でも起きている不適切保育や虐待事件は、極めて残念であり考えさせられることもたくさんあります。

人材確保が厳しい保育園の状況や保育士の待遇面の悪さなども問題視されています。国の基準では一人の保育士に対し6人の1歳児を保育する配置基準となっており(新潟市の基準では1対3)仮にこの基準で保育士を配置したとすると十分な休憩時間の確保や休暇を取得する事も難しくなってきます。このような労働環境に加え、ここ数年ではコロナ対応も増え、ストレスでゆとりを持った保育が出来ず、その結果子どもを虐待してしまったのかも知れません。しかし本来子どもを守る立場にある保育士はどのような理由があったとしても不適切保育や虐待をしてはいけないのです。ましてやストレスのはけ口を子どもに向けるなどとは言語道断なのです。

どこの保育園でも子どもの健やかな成長を願い、一人ひとりに寄り添う保育を目標に掲げ、また保育士であれば誰もが大切な命を預かる事の重大さは資格を得る過程で十分に学んできたはずです。それでも結果としてこのような事件が複数の保育園で起きてしまっているのです。

どのような場合でも理想と現実には差があり、保育士という職業もその例に漏れないと思います。他の職業に比べたら、むしろ保育士は子どもの頃からの夢を実現させて職に就いている人が多いかもしれません。問題を起こした保育士たちもきっと子どもが好きだから保育士を仕事として選んだのではないでしょうか。子どもたちに慕われる保育園の先生を夢見ていた時期があるのではないかと思うととても残念でなりません。彼らの暴走を周囲は止めることができなかったのでしょうか。

このような不適切保育や虐待の防止策として外部研修を受けさせるのも一つの方法かもしれませんが、それ以前に健全な保育が行えるような環境づくりこそが最重要課題ではないかと考えます。