東京地下鉄千代田線に「乃木坂・のぎざか」という駅がある。アイドルグループ「乃木坂46」の乃木坂だ。所在地は東京都港区赤坂、そこに乃木神社という神社がありその神社近くの坂の名前が乃木坂というわけ。その地下鉄の隣の駅名が「六本木」、乃木神社一帯は都内でも一味違ったしゃれた高級感のある雰囲気の街並みのところ。
乃木神社の祭神は乃木希典(まれすけ)大将。乃木大将と言っても現在はその名前を耳にしてもほとんどの人はご存じない。
日本とアメリカがかつて戦争をし、広島の原子爆弾投下で日本国が米国に降伏したのが1945年8月、73年前のこと。全国の主要都市の大半は米軍の空襲で焼野原となり、極端な食糧不足のため日本国民の大多数は食うや食わずの飢餓状態、その原因となった戦争のこと日本軍のこと、一切忘れたい、思うだけでもおぞましく一切口にすることも避け、平和を希求する国民感情になった。
大正・昭和初期まで神様として尊崇を集めていた軍人が陸軍は乃木希典大将、海軍は東郷平八郎元帥だった。両将軍はともに明治37・8年の日露戦争の際大活躍され日本が世界の大国ロシアを打ち負かすことが出来た重要な作戦時の最高指揮官だった。そんな両将軍のことや戦争のこと一切を忘れてしまいたかった。
乃木希典の父は毛利長州藩(現在の山口県)の江戸勤務の藩士だった。希典は嘉永2年(1849)に生まれ10歳まで江戸屋敷(現乃木神社地)で育った。幼少時は泣き虫の臆病もんだった。父は希典を丈夫なたくましい子に育てることに熱心だった。というのも長男・次男ともに幼くして亡くし三番目が希典だった。
ある雪の降った寒い日に、思わず「寒い」と口にした希典の言葉を耳にした父親は「寒いなら暖かくしてやる」と言って希典を裸にして庭の井戸の前に座らせて頭から井戸水を何杯かかぶせた。その後乾いた布で拭き乾布摩擦をして「どうだ、これで暖かくなったろう」と、こんな風に希典は育て上げられたのでした。
この井戸端冠水の話は訓話として大正・昭和初期の教科書にも掲載され広く知られた話だった。こんな風に厳しく育てれば子どもは乃木大将のように立派なたくましい偉人に成長するのだと、子育ての原点的心得として広く理解されていた。英語の諺に「Spare rod, spoil child(鞭ムチを惜しむと子どもはだめになる)」があるが今時鞭は通用しない、と言っても甘やかせば自制心が育たず子ども自身が間違いなく不幸になり苦しむことになる。
一月下旬、千葉県野田市の小学校4年女児栗川心愛ミアさんが父親に冷水シャワーをかけられているうちに体調が急変し亡くなった。父親が日常的にミアさんをいじめ続けたようだ。日頃食事も満足に与えなかったようで解剖結果体内には食物の遺留がほとんど認められなったとのこと。逮捕された41歳の父親はミアさんに対する行為は虐待ではなく教育・躾のためと説明しているという。傍観しながら止めることをしなかった母親も逮捕された。学校の先生にも必死に彼女は訴え続けたようだが最悪の結末になってしまった。児童相談所も絡んでいても家庭の中に踏み込む事の難しさの嘆きだけが返ってくる。父親の勤務先での評判は温厚な印象とのことだから始末が悪い。
両親が家庭内で子どもを一見乱暴に対応しているのを見ても外部にはその行為が単なるいじめかしつけ・教育かは判らない。ただその場の感情任せ・激情に走ることだけはぜひ避けたい。
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≪平成最後のお遊戯会≫
お国の予定では新しい年号の決定発表が4月1日、そして5月からは新しい年号と新しい天皇が即位継承されることになっているとのことです。時代の変化がこれほど分かり易い形と時期にめぐり合えるいうことは滅多にはないです。
ということで3月、4月のこれからの出来事はなんでもかんでも全てが平成最後のことということになりますね。
折りもおり、この2月22日、小惑星探査機「はやぶさ2」が遙か3億4千キロかなたの径900メートルほどの「小惑星・りゅうぐう」への着地に成功、その「りゅうぐう」の岩石を採取して何年か後に地球に戻りその採取した岩石を分析することで太陽系45億年の生成の謎を解き明かすことになるかと期待が膨らんでいる。このようなプロジェクトは日本独自な事業だけにその進展は大いに楽しみだ。何しろ指令電波の到着に20分もかかるというから雄大な話です。
3月2日(土)は平成最後のお遊戯会。今総仕上げの真っ最中。おたのしみに。
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