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子供の幸せを願って その3|2022年1月

 『子どもの良いところを伸ばす』と聞いてみなさんはどんなことを頭に思い浮かべるでしょうか。子どもの資質や才能を見出すことはたやすいことと思えないのは私だけでしょうか。なぜなら『良い』と感じるのは私自身の価値観で、またそれはその時々の状況に流され、変化したりもするからです。仮に子どもの良いところを見つけてあげたとしても、それを伸ばしてあげるために維持し続けることは容易ではないように思えるのです。

 今回は、たとえ周囲から何と言われようとも、我が子の一番の理解者、協力者となって信念を曲げずに子育てをした結果、子どもの良いところを十分に伸ばして大きく実を結んだ例をご紹介したいと思います。

 その男の子が2~3歳の頃は近所の公園に連れて行くと、砂場で黙々と泥だんごを作り続け、夕方になっても「砂場のふち全部に泥だんごを置くまで帰らない」という頑固さに、母は気長に付き合ってあげていたそうです。幼稚園の頃はひたすらトラックの絵を描き、小学校へ上がると今度はトラックの絵に妖怪の絵が加わり、そしてある日を境にタコの絵ばかりを描き続けるようになったそうです。

 小学校へは教科書の代わりに魚の図鑑をランドセルに入れ、放課後になると近所の魚屋や図書館に通い、明けても暮れてもタコに心酔する息子に母は毎日のようにタコのお刺身、タコの煮つけ、タコの酢の物を晩御飯に作ってあげたそうです。

 そればかりか週末には息子を水族館へ連れて行き、閉館時間までずっとタコの水槽の前から離れない息子に「タコって面白いんだね、お母さんもどんどんタコが好きになってきたよ。」と言って、タコに夢中な息子に付き合ってあげたのだそうです。

 少年の興味はその後タコから魚全般へと領域を広げていきます。学校帰りには往復2時間もかけて大きな魚屋まで足しげく通い、いつしか見よう見まねで魚をさばくことまで出来るようになります。母は魚を買うときは必ず一匹まるごと買い、料理の前に息子に魚の絵を描かせるのでした。

 そんなお魚ばかりの生活をしていたら当然のことながら学校の成績は下がるいっぽうです。「授業中に魚の絵を描いてばかりで授業にまったく集中していません。おうちでも学校の勉強をきちんとやるように指導してください。」という先生に、「あの子は魚が好きで、絵を描くことが大好きなんです。だからこのままでいいんです。成績が優秀な子がいればそうでない子もいて、だからいいんじゃないですか。みんなが一緒だったら先生、ロボットになっちゃいますよ。」と、お母さん。私が仮にこの子のお母さんだったら先生の言葉に動揺し、「お魚だけに没頭することが良いこと」とは決して思えなくなり、どうにかして勉強させる方法を考えたと思います。

 「お魚が好きならとことんやりなさい。」というお母さんの一貫した姿勢に支えられ、少年は自分の中から湧き出てくるお魚への情熱を一度も我慢することなく大人へと成長し、後に「さかなクン」の愛称でテレビの人気者となり、遂には子どものころの夢だった東京海洋大学の先生になったのです。

 子どもの幸せってこういう事なんだな、と彼の自伝『一魚一会』(いちぎょいちえ:講談社)を読んでそう感じました。おそらく小中学生向けに書かれた本だと思いますが、子育てをする親の目線で読んでみてもとても面白いと思いますので、この年末年始に家族みんなで読んでみてはいかがでしょうか。

職員紹介のコーナー|2022年1月

 今月はぞう組担任の大津留明峰(おおつるあかね)先生です。

 好きなこと:ドライブ、洋裁、物づくり、スキー、山菜採り、キャンプ

 今の夢:我が子を抱くこと、コロナで行けていない新婚旅行に行くこと シンガポールのマリーナベイ・サンズに泊まって、屋上のプールに入ること

 小さい頃から幼い子の面倒を見るのが好きでした。 中一の時に生まれたいとこの赤ちゃんの愛らしさに心奪われ、保育職を志しました。子どもたちの笑顔が大好きです。一人ひとりその子らしく、安心して楽しく園生活を送れるよう関われたらと思っております。