今回は、10月末に新潟県保育士会主催の「保育士研修会」に参加したT保育士の参加報告レポートが大変素晴らしい内容でしたので、それをほぼそのまま紹介させていただきます。
研修会の講師は辻井いつ子さん、彼女に授かった初めての子どもが先天性の全盲とわかった時は真っ暗な奈落世界に突き落とされたような絶望感を味わわれことかと思われます。しかし辻井さんはその息子・伸行さんを世界的に有名な米国のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールに出場して金賞獲得を成し遂げ、世界的なピアニストに育て上げた母親の子育て奮闘物語がこの研修会。上記表示の「明るく楽しく そして諦めない生き方」が講演の題名。
前置きはこの辺で、保育士TYのレポートの紹介に移ります。
保育士TYの研修報告書: (辻井いつ子氏の講演)
〇1988年(昭63)に生まれた長男伸行さんが生後間もなく全盲とわかる。
〇8ヶ月頃、童謡だけでなく自分の好きなクラシック、ポップスなどを聴かせてみたところ、ショパンの「英雄ポロネーズ」をロシアのブーニン演奏のものが流れると、リズムをとり、笑顔、とても喜ぶ。ブーニン以外の別の演奏家のものには全く反応がない。母はこの時(8ヶ月の伸行が)演奏家による曲の違いを聞き分ける能力があると確信。
〇また、2歳3ヶ月目の頃、母の鼻歌を2、3回きくと覚え、童謡だとおもちゃのピアノではあるが上手に弾いた。そこで早い時期に本物のピアノをと週に一回講師が弾くピアノの音楽鑑賞。本格的なピアノレッスンではなく、楽しめる指導をしてもらった。→その後、様々な児童少年対象の音楽コンクールで優勝。
〇全盲だからわからない、出来ないのではなく、やらなければわからない。やりたいと思うものはとにかくやってみれば良いという母親の考え、プラス思考でありたい。ピアノを弾くきっかけだけでなく他の水泳、スキー、キャンプ、美術鑑賞、登山等々。
〇心豊かにいろいろな事を体験すると人間の幅が広がる。
〇子どもは親だけには無条件に褒めてもらいたい、愛されたい、どんな事があってもお母さんは自分の味方。親も子も信じてあげる→親子の関係。
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≪「親ばか力」で才能を引き出す10の法則≫
①子どもの可能性を信じる―
大きな可能性があると信じる。「もしかして天才かも」
②よく観察し才能の種を発見する―
愛情を以って子を見つめ小さな反応や変化を見落とさず、
何に興味関心あるか見極める。親の固定観念で子をみない。
③始めるに「早すぎるは」ない―
子が興味を持つことを積極的に援助し「やる気」を膨らませる。
そして親も一緒にやってみる。
④思いっきり褒める抱きしめる―
小さな達成感を積み重ねて自信を持たせる。自分ががんばれ
ば喜んでくれる人が身近にいる事を体感させる。
⑤ネガテブな言葉は使わない―
「できない」「無理」「ダメ」といった消極的な言葉は×。
「大丈夫」[きっと出来る」「いつも通りにやればいいのよ」
⑥ファン第一号になる ――
子のやる気が定まってきたら親子で夢を共有し応援する。 支えて
くれる人が身近にいる事 を体感させる。
⑦ひらめいたら即アクション―
ダメで元もと、失敗を恐れず思い立ったら即実行。[勇気と決断力]
を持つ。やってダメなら次にトライ。
⑧本物に触れさせる ――
心を耕す事が大切。五感で味わう大自然。生演奏の音の輝き・・etc.
本物の迫力が心を豊かにする。
⑨いい先生を見つける――
人との出会いを大切に。親の出来る事は限られる。積極的にアプ
ローチして、アドバイス、パワー、チャンスをもらう。
⑩明るく楽しく諦めない――
どうせやるなら親自身が明るく、楽しく。そのプラス感覚が子どもの
養分になる。あきらめない熱意でチャンスを呼び寄せる。
≪受講の感想≫ 伸行氏の生い立ち、子育てエピソードの話から講演が始まりました。どんな立派な音楽一家で、英才教育をしたのかと思っておりましたが、全盲のハンデイを持つわが子が、好きな事、趣味を持って明るい未来をと願う母の子育ての話でした。その中で8ヶ月の頃、演奏家の違いを聞き分ける能力にいち早く気付き、現在の伸行氏あるのは母の深い愛情、強い信念があったからだと感じました。上記の10の法則は保育にも生かせるところがあり参考になりました。幼いから出来ない、わからない‥‥のではなく、いろいろと体験させてあげたり、「大丈夫」「きっと出来る」などの何げない一言・対応が大事なのだと思いました。
心の栄養となる楽しい研修に参加させていただき、ありがとうございました。
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