長男・長女は大事に育てられたので、その弟妹よりもお人好しでおろかだということ。(広辞苑)
惣領とは人々の先頭に立って物事をまとめる地位にある人のことで一家にあっては家長戸主を指す。第二次大戦後までは日本の家の家長の権限は絶対でした。そして家の財産や地位職業を継ぐ者は長男か長女と決まっており、長男長女が死亡等の理由で継げない場合にのみ初めて次子以下にその権利の順番が廻ってきた。最初に生れた子どもを特に男子の場合は後継ぎ筆頭の意味で惣領と呼んだ。
第二次世界大戦終了後、現在のような日本の国の基本的あり方を決める憲法を始めその他の法律や諸制度が大幅に民主主義的な観点に見直され改正されたことはご存知の通り。
そのような嘗ての旧制度時代の一家にあっては家の後継ぎが約束された最初の子どもの待遇は他の弟妹とは比較にならないほど特別だった。最初の子どもはそんなわけで一家の希望と期待を背負って大切に育てられた。その結果ちやほやされた環境の中で育った子どもが力強く自立心旺盛で逞しく育っていくだろうか。一般に実際はそれとは裏腹真反対になりやすい成り行きになっている。
常に周囲が自分を見守り手をかしてくれる、それどころか物事をやりやすいように立派にお膳立てしてくれる環境が平常当たり前の状態だとしたら、自らの創意工夫や努力を積み重ねたり不便に耐える根性、雨にも負けず嵐にも負けずに立ち向かう逞しい人になるだろうか。その多くはその反対に陥り易い。
結果、第一子に冠せられる名称が「惣領の甚六」。甚六とは、甚だしくろくでもない人とはこじつけもいいところだが、それはともかく箸にも棒にもかからないような手に負えない人間になる可能性が大きい。もちろん第一子の多くがそうなることは決してない。 ここで気を付けていただきたいことは近年のように一家庭の子ども数が 一人か二人が大多数になってきたことだ。別の子育て警句に末っ子はどうしても甘えん坊になりがちといわれている。ということは最近の子どもの大半は惣領か末っ子になっているということだ。
近年中高年のニートや引きこもりが男女ともに多くなってきているようだ。とうに亡くなった親の年金で生活 していた50代60代の人々の問題記事が目に入る。 新潟県内でも女子小学生を誘拐して9年間も監禁した男もニートで老母の稼ぎだけで生活していたという事件もあった。ニートや引きこもりは社会の目に触れにくい存在だけに 以前よりも実際に増えているのかどうかは分かりにくいが、親としてはこれだけにはなってもらいたくないのでは。
子育ては大変だ。大変でもやりがい頑張りがいのあることは他の何よりも大きいのではないのでは。
子育て後、上手に子離れ親ばなれしていくこともさらに大切だ。子ども自身に自立心を持ち親への依頼心を成長に従って少なくしていくこと、これの失敗がニートや引きこもりに至る要因の一つ。
愛情や手数を子どもにかけることは重要な親の務め。親子の関係は生ある限り続く。それをいつまでども続けることは出来ないのが現実だ。
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